地域包括ケア病棟ってどんな病棟?
この項目では、地域包括ケア病棟の特徴や業務内容についてご紹介します。
地域包括ケアってよく知らないけど何をするの?
地域包括ケア病棟の主な役割は急性期医療と在宅をつなぐことです。
実際に働いている現役ナースが詳しく説明していきます!
【こんな人に読んでほしい!】
- 地域包括ケア病棟に興味がある
- 実際の病棟業務が知りたい
- 病棟選びに迷っている新人・転職活動中の人
地域包括ケア病棟とは?
地域包括ケア病棟は、2014年の診療報酬改定で新たにできた亜急性期病棟です。
在宅や他院など多方面から入院してくる患者に対し、リハビリや医療ソーシャルワーカーなどの他職種と連携して在宅復帰支援をめざします。
2022年の診療報酬改定に伴い、地域包括ケア病棟の施設基準も変更されています。
- 入院期間:60日間
- 入院経路:在宅・他院・自院など多方面
- 看護配置:13対1以上
- 病棟専従のリハビリ療法士:1名以上
- リハビリを要する患者には1日平均2単位以上提供
- 重症度、医療・看護必要度Ⅰ:12%以上または重症度、医療・看護必要度Ⅱ:8%以上
※他にも救急の実施や在宅復帰率など、細かく定められています。
出典:厚生労働省ホームページ 令和4年度診療報酬改定の概要 入院Ⅱ(回復期・慢性期入院医療)
地域包括ケア病棟の役割
主な役割は、急性期医療と在宅をつなぐことです。
【地域包括ケア病棟の役割】
- 急性期病床からの患者受け入れ(ポストアキュート)
- 在宅や施設からの患者受け入れ(サブアキュート)
- 介護支援のための受け入れ(レスパイト)
地域包括ケア病棟の患者の特徴
- 高齢者が多い
- 術後急性期を脱している、慢性疾患を持っている
- 具体的には、骨折・外傷・肺炎・心不全・脳梗塞・認知症など
- ADL介助が必要な患者さんが多い
自院や他院の急性期病棟から、急性期治療(手術など)を終えた患者さんが転院してくることが多いです。在宅や施設から治療が必要な患者の救急受け入れも行います。
私の病院では高齢者が大半を占めており、骨折・外傷・肺炎・心不全・脳梗塞などの疾患が多い印象です。主に自院の急性期病院や施設から転院してきます。また、在宅療養中の認知症患者や慢性疾患をもっている患者さんがレスパイト入院されることも多いです。時々看取りを行うこともあります。
患者さんによって介護度はさまざまですが、食事・更衣・清潔・排泄などのADL介助を要する方がほとんどです。自立歩行できたり50代前後の若くてしっかりされている方もおられますが少ないです。
地域包括ケア病棟の業務内容
入院から退院までの流れ
おおまかな流れとしては次の3つです。
- 患者の情報収集
- 治療方針、患者・家族の意向など方向性を確認
- 退院調整
1.患者の情報収集
入院中に患者さんの情報収集を行います。患者さんの家族(キーパーソン)、施設、診療所、訪問看護、ケアマネジャー、ヘルパーなどさまざまな方から退院準備に必要な情報を聞きます。
2.治療方針、患者・家族の意向など方向性を確認
まずは医師の治療方針を確認します。患者さんやその家族の意向を聞き、在宅か施設かなど具体的な方向性を決めていきます。
3.退院調整
退院時にどの程度の医療・介護が必要なのか、自宅環境をどのように整えるか、だれがどんな役割を担うのかなど退院に向けて調整を行います。必要に応じて、他職種と合同で退院前カンファレンスを設けることがあります。
地域包括ケア病棟における看護師の役割
私がもっとも重要だと思うのは、患者さんとその家族の意向を具体的にくみ取ることだと思います。方向性が定まらないことには、退院調整は進みません。
退院調整を行うには時間を要すため、早期介入が必要です。患者さんの状況をいち早く把握し、他職種連携の中心となって退院支援を進めていく役割を看護師は担っています。病院によっては、「退院支援看護師」が病棟に配置されています。
私の病院では、入院3日以内に初回の退院支援カンファレンスを行います。看護師間でも情報共有を行い、次回のカンファレンスまでに必要な情報収集を行ったり他職種との連携を図ります。
地域包括ケア病棟に必要な看護技術は?
特定の疾患に特化した病棟ではないため、よくある疾患の知識と基本的な看護技術(バイタルサイン測定、採血、点滴、吸引、排泄処置、保清など)が備わっていれば問題ないと思います。強いて言えば、他職種との連携が多いためコミュニケーション能力は高いほうが有利です。
基本的な看護技術が
備わっていれば働けます!
地域包括ケア病棟が向いている人・向いていない人
地域包括ケアはなんとなくわかったけど
自分には向いているのかな?
私が思う地域包括ケア病棟に向いている人の特徴をまとめてみました。
就職・転職を考える際の参考にしてみてください。
【地域包括ケア病棟が向いている人】
- 退院支援を学びたい人
- 慢性期の看護がしたい、介護が好きな人
- コミュニケーションが好きな人
- 子育て中のママナース
退院支援を学びたい人
急性期病棟や慢性期病棟でも退院支援は行いますが、やはり地域包括ケア病棟が特化していると思います。難しい症例も多いですが、病院と地域の様々な職種と協力して患者さんやその家族の希望を叶えられたときはなんとも言えない達成感があります。がっつり退院支援をしたい人はぜひ!
慢性期の看護がしたい・介護が好きな人
急性期に疲れちゃった、慢性期の看護が好きという人は向いているかもしれません。基本的には急性期を脱しているため急変は少なく、看護業務としてはADL介助がメインになってきます。
患者さんとのコミュニケーションが好きな人
退院支援において、情報収集はとても大切です。コミュニケーションが好き・得意な人は、患者さんやその家族からあらゆる情報を入手することに長けていると思います。そのコミュニケーション能力は他職種と連携する際にも大いに力を発揮できます。
子育て中のママナース
私の病棟では子育て中のママさんも多く働いており、ワークライフバランスの観点からも働きやすい病棟です。また、妊娠・出産などでブランクのある看護師さんも復帰しやすい環境だと思います。転職の際は、中途採用者のフォローを行っている病院を選ぶとなおよいと思います。
新人ナースは地域包括ケア病棟に向いてない?
新人が地域包括ケア病棟に就職してもいいのかな?
新人ナースも就職できます!
ただし、私のおすすめは急性期病棟を経験してから
【新人ナースの場合】
- 訪問看護や地域医療の領域に興味がある、急性期が苦手という人は選択肢の一つになり得る
- 将来仕事の幅を広げたい人は、新人のうちに急性期病棟に勤めてみて!
- 看護技術によっては急性期病棟よりは経験できる機会が少ない
- ただし基本的な看護技術は網羅でき、ADL介助は極められる
- 必ず新人指導が整っている病院を選ぶ
地域包括ケア病棟で新人が働くには
まとめ
今回は地域包括ケア病棟についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。少しでも病棟のことを知ってもらい、興味を持ってもらえたら嬉しいです。
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